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「津軽」(太宰治 著)を読みながら春を待つ

このごろ寒すぎて春が待ち遠しい気分。太宰治の「津軽」は春待ちな本、というイメージではありませんが、書かれた時期は5月の春の時期なので冬の本ではない。長年勝手に雪国の冬の話だと決めつけて実は読んでいなかったのであります。

太宰治を読むと、やつは5回も女を道連れに自殺を図ったダメ男で、その暗黒の世界に読むだけで引きずり込まれてしまうような、そんな危険があるのではないかしら、と思っていたので教科書的な作品以外はあえて好んで読んではこなかったですね。

太宰治は今でも大変人気のある作家。なぜなんだろう・・・ダメなインテリに多くの女性は弱いことは、まあ確かです。いや、それだけじゃないでしょ~って、うん、そうですね。単調にダラダラと退屈な描写はしないですね。ビシッバシッとキレのよい文体が爽快。あ~何て語彙がないんだろ私。この「津軽」は人間失格系列の内容ではく、太宰目線での、故郷の風土記的な意味で書かれています。

キズ有りワケ有りのりんごだって、味はふつうのりんごと変わらず美味しい。私もスーパーでよく買っている。下らぬ偏見で名作を読まないのももったいないか。40代後半にもなって今更本一冊読んだところで、おそらくオバハンは何という影響も受けないであろう。「津軽」冒頭有名な書き出しの「ね、なぜ旅にでるの?」「苦しいからさ。」とは全く相いれない気分の私でありますが、一応読んでみる。

この本を読むと、青森方面に旅してみたくなります。春になったら太宰治の生家「斜陽館」行ってみるのもよいかもしれない。とはいえ名古屋方面から青森はフラリと気軽に行ける場所ではない。よって「太宰治と旅する津軽」というカラーのガイドブック的な本を片手に読み進めてバーチャルツアーを楽しむ。

太宰治がこの本で描きたかったのは、故郷にまつわる友人、知人、家族、家族同然の養母との交流という事が読んでいくと分かります。津軽も借景として描写はされていますがそんなに重きをおいているような雰囲気はしません。よどみない、勢いのいい文章やセリフで時にユーモラスに、素朴で時としてすこし過剰な津軽人が描写されています。そういう所はおもしろい。作品の最後の終わり方は風土記らしくないですが太宰らしい。

“ 私は虚飾を行わなかった。読者をだましはしなかった。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。”

特徴ある書き方ですね、人間性がすごく出ているというか。冒頭よりも最後の言葉の方が私は好きです。人生は楽しいことやおもしろい事の連続というより、つらく苦しいことの方が圧倒的に多い。だから、弱い人が書いた、全然強くない、失敗だらけの不格好な生き様や小説は、救いになるのかもしれない。

太宰の紡ぎだした言葉は、雪の結晶のようにキラキラと今も輝いている。命のきらめきのように紡ぎだされた物語や言葉は、あたたかい手のひらにのせるとすぐに溶けて消えてしまいそうなはかさがあるが、心の中では消えずに降り積もって輝き続ける。

もう少し太宰治の作品、読んでみようかな、そう思いました。

新年のごあいさつが随分遅れてしまいましたが、牛年の女は、猪突猛進は苦手という事でお許し頂きたく思います、本年もよろしくお願いいたします。

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著者 : 太宰治
岩波書店
発売日 : 2004-08-19

著者 : 太宰治
新潮社
発売日 : 2009-09-26

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